麻酔科のお仕事

麻酔科のお仕事 · 07日 4月 2023
麻酔って何?②
吸入麻酔薬は、大分安全に使われるようになったものの、特にお年寄りや、子どもにとっては、まだまだ影響が無視できるとは言えません。一方で、モルヒネなどの強力な鎮痛剤で痛みをとり、一時的に骨格筋を麻痺させる筋弛緩薬を用いると、鎮静薬が少なくて済むことが分かってきました。しかしそうなると、呼吸は止まり、血圧は低下します。そこで、人工呼吸器を用いて、昇圧剤を投与し、脳などの臓器に血液と酸素が行くようにしております。麻酔中の全身管理と呼ばれております。最近では80代、90代の患者も珍しくありません。より厳重に管理しないと、認知機能に問題を生じたり、心筋梗塞、腎機能低下など、様々な合併症を引き起こすことになります。
麻酔科のお仕事 · 07日 4月 2023
麻酔って何?その①
全身麻酔って、睡眠ではないんです。回復しうる「昏睡」なんです。そもそも、意識の正体がまだはっきりとしていません。とは言え、手術をしないわけにはいきません。そこで、麻酔の3要素①鎮痛②鎮静③無動という概念が提唱されました。①の鎮痛は分かりやすいかと思います。局所麻酔や、半身の麻酔で痛くなければ、手術を行うことはできます。問題は②の鎮静です。古くは、お酒でベロベロに酔っぱらった状態で歯を抜いたりしていました。エタノールからエーテルが発明されると、より速やかに昏睡状態に誘導できるようになりました。しかしここで問題が発生します。エーテル麻酔を深くしていくと、2度と目を覚まさなくなります。そこで、ハロゲン化エーテル、今日使われている吸入麻酔薬の登場です。大分安全に麻酔がかけられるようになりました。とはいえ、作用機序が科学的に解明されたのは、2020年のことでした。それまでは、作用機序がわからないまま使われ続けていたのです。